2020年のコロナ禍以降、テレワークが広く認知されました。
しかし、地域や会社規模、業種、雇用形態(正社員、非正規社員)で普及率には大きな差があり、テレワークを実施している企業はまだまだ少ないのが実情です。
テレワークを行う上で一番の課題と捉えられているのが、コミュニケーションの課題です。株式会社パーソル総合研究所が行った調査では、テレワークの課題として、どの年代でも非対面では相手の気持ちがわかりにくいという回答が最も多くなっています。
テレワークをしている以上、コミュニケーションの不都合は仕方のないことでしょうか?世の中にはテレワークを行っても非常に高い生産性を上げている企業や、全社員がテレワークをしている企業も存在しています。
同様の課題がまったくないわけではなく、これまでの慣習を覆すような工夫や、独自の取り組みをしています。
今回はテレワークにおけるコミュニケーションの課題を解決するための工夫をいくつかご紹介します。
テレワークでのコミュニケーションの課題
これまで対面で行われていたコミュニケーションの多くは、テレワークでも同じように行うのは難しいです。
例えば「同僚に聞きたいことがあるのでちょっと声をかける」といったコミュニケーションは、お互いに社内にいれば相手の様子がわかるので声をかけることができます。
しかし、テレワークをしていると、当然相手の様子がわからないうえに、コミュニケーションが非同期(チャットなど)なので、聞きたい時にすぐに返事が返ってくるとは限りません。そのため、返信待ちが発生したり、聞き方によっては忘れられてしまったりすることで、やりづらさはもちろん、疎外感を感じてしまったりする場合があります。
テレワークを考慮したコミュニケーション方法の重要性は、今後高まってくると考えています。
テレワークでのコミュニケーションの工夫
コーヒーチャット
コーヒーチャットはチャットでの雑談です。人の集中力は30分〜50分程度しか続かない、と言われています。雑談や小休憩を挟むと集中力が回復し、クリエイティブな発想が生まれたり、信頼関係の構築にも一役買っています。
オフラインでは同僚と雑談することはあっても、チャットで雑談するのは気が引ける。という人も多いと思います。その場合、チャットツールで公式の雑談用のチャンネルなどを作成することをおすすめします。
オフィシャルに雑談をするための環境があることで、コーヒーチャットをするためのハードルが下がります。
予定を共有する
Google Workspace や Microsoft 365 などのコラボレーションツール、様々なグループウェアでは個人の予定表やチームの予定表を作ってそれを共有することができます。しっかりと予定表に予定を入れることで、その人が今何をしているのかを把握することができます。
また、在宅で勤務している場合は、ON、OFFの境目が曖昧になりやすいので、ミーティングなどの仕事の予定の他に、プライベートな予定を登録しておくこともおすすめしています。
プライベートな予定は他の人に見られたくない。ということが当たり前かと思いますが、多くのカレンダーアプリでは予定を公開するか、非公開の予定にするかを設定することができます。
スタンプ、絵文字、感嘆符などを使う
テレワークでのコミュニケーションを支えるチャットは文字でのコミュニケーションが基本なので、感情が読み取りにくいです。その一方で感情を深読みしすぎてしまう側面があります。例えばこんなやり取りです。
Aさん『XXXの作業をX日までお願いします。』
Bさん『はい。』
人によってはAさんの指示やBさんの返事はそっけない、冷淡と感じる、なんだか怖いと受け取ってしまいます。
そのため、スタンプ、絵文字、感嘆符(!)などを積極的に使うことで誤解や、深読みを避けることが大切になってきます。次のようにするとだいぶ印象が違うと思います。
Aさん『XXXの作業をX日までお願いします』
Bさん『はい!』
Aさん『XXXの作業をX日までお願いします🙏』
Bさん『了解です!🙆🏻♂️』
オンライン会議ではカメラをなるべくONにする
オンライン会議で相手の表情が見えないと、相手の反応が読み取れないので独り言を話している感覚に陥ります。
参加者が多い打ち合わせではマイクをミュートにすることが望ましいので、そうした打ち合わせの場では特に気をつけたいことです。相槌や身振り手振り、相手の目線、表情など視覚から得られる情報が加わると、「自分の話を聞いてもらえている」という感覚になります。
在宅で勤務している場合は、部屋が写り込んでしまうことに抵抗を感じる人もいると思います。その場合は、背景をぼかしたり、バーチャル背景などを使って、部屋が映らないようにすることがおすすめです。
多人数でのミーティングでは発言者以外はマイクをミュートに。少人数の場合は全員ONでもOK
チームのミーティングなどで全員がマイクをONにしていると、周囲の環境音や他の参加者の咳払いなどが発言に被ってしまったり、他の人が発言を遮ってしまったりなど、ミーティングの品質に影響を与えてしまいます。
多人数でのミーティングの際は基本的には発言者以外はマイクをミュートにすることをおすすめします。発言の際にマイクをONにします。
1on1や少人数でのディスカッションと言った、テンポよくコミュニケーションを重ねることが大事な場面では、全員がマイクをONしても問題ないでしょう。
オーバーリアクションする
リモートワークのコミュニケーションでは、スタンプや絵文字、感嘆符などの視覚的な要素が頻繁に使用されます。これは、オンライン環境での会話では、対面での会話と比べて感情の表現が難しいからです。
カメラを通した表情は、カメラの位置や光の影響で伝わりにくく、特に伏目がちになると無表情に見えることがあります。したがって、感情やニュアンスを効果的に伝えるためには、視覚的な補助が必要となる場合が多いです。
オフラインでは考えられないほど大げさなジェスチャーや行動が、オンラインコミュニケーションでは効果的です。
たとえば、意見に賛成するときには、リアルで親指を立てるなどの動作を取り入れてみましょう。また、理解したことを示すために頷く、疑問や困惑を表現するために頭を抱えるなど、感情や反応を大げさに表現することで、コミュニケーションがよりスムーズになります。
このような視覚的な補助は、リモートワークにおけるコミュニケーションが円滑に進むための重要な要素です。カメラを通じて人間の感情を完全に伝えることは難しいかもしれませんが、これらの手段を利用することで、感情の橋渡しを助け、深い理解と良好なコミュニケーションを促進することができます。
バーチャルオフィス
リモートワークのコミュニケーション課題に対する一つの有効な解決策として、oViceのようなバーチャルオフィスの活用があります。バーチャルオフィスは、物理的な場所に依存しないで共同作業やコミュニケーションを行うためのオンラインスペースを提供します。
oViceでは、2Dのバーチャル空間にアバターとして参加し、他の参加者と自由に移動しながら会話を楽しむことができます。これにより、オフィス内での自然な人間の動きと会話の流れを再現します。
例えば、カジュアルなランチミーティングや、偶然の出会いから生まれる新たなアイデアなど、実際のオフィスでのコミュニケーションの要素をオンラインでも再現します。
さらに、バーチャルオフィスはリモートワークの柔軟性を維持しながら、チームの結束力を強化します。全員が同じバーチャル空間にいることで、一体感を感じることができます。また、各メンバーのアバターがバーチャル空間内を移動することで、誰がどの空間にいて何をしているのかが一目でわかります。
これらの理由から、バーチャルオフィスはリモートワークにおけるコミュニケーションの課題を解決する効果的な手段と言えます。自然なコミュニケーションの流れを再現し、同時にリモートワークの利点を活かすことで、より高品質なコミュニケーションと効率的な作業を実現します。
まとめ
テレワークにおけるコミュニケーションのとり方といった課題は、ある程度の慣れが必要な部分は否めません。
テレワークがより普及するとテレワークの始め方といった情報よりも、テレワークによる課題を解決するためのベストプラクティスが増えてくると考えています。 テレワーク実施率の調査でも、コロナ収束後もテレワークを継続したいか、という問いに対しては、全体で78.6%もの人が継続したいと回答しています。
ワーク・ライフ・バランスの充実や、通勤時間の短縮などテレワークで得られる様々なメリットは仕事のやりがいや、人材定着、会社の魅力の一つと言えるので、ぜひ取り組んでみてもらいたいと思います。