Windows Server 2012 のサポート終了とクラウドの活用

2023/07/04 13:23:52 | クラウド Windows Server 2012 のサポート終了とクラウドの活用

Windows Server 2012のサポート終了に備え、NASのクラウド移行の必要性を解説します。クラウドのメリット、選択肢、運用とセキュリティ対策までを解説します。

2023年10月10日は Windows Server を使用しているユーザーにとって一つの節目となります。

なぜなら、この日をもって、幅広い業務に使われてきた Windows Server 2012、Windows Server 2012 R2 の延長サポートが終了するからです。

社内では多くのシステムが動作していると思います。業務システムを稼働させるための Web サーバーやアプリケーションサーバー、システムのデータを格納する DB サーバー。Windows の PC に WindowsUpdate を配信するための WSUS サーバー。

Windows アカウントを認証するための Active Directoryのドメインコントローラや、業務に使用するファイルを格納するファイルサーバーなど、Windows Server 2012 はこれまでのサーバーOS同様幅広い用途に使用されてきました。

これと言ってサーバーを使用していない。という方もいるでしょう。

しかし、ファイルを保存するための NAS(外付けのHDD筐体)を使っていることも多いのではないでしょうか。

代表的なものでは、Buffalo の TeraStation や IO Data の LAN DISK などです。 

法人向け NAS:TeraStation

法人・企業向けNAS:LAN DISK

こうした NAS は手軽に設置でき、設定も簡単なので多くの中小企業でファイルサーバーとして利用されています。

TeraStation

LAN DISK

この記事では、特にファイルサーバーとして利用しているNASに焦点を当て、サポート終了に向けた対策と、クラウドへの移行と、それに伴うメリット・デメリットについて詳しく解説します。

Windows Server 2012 のサポート終了の影響

Windows Server 2012、Windows Server 2012 R2 の延長サポート終了とは、マイクロソフトが新しい機能やセキュリティの更新を提供しなくなることを意味します。

これにより、OS に新たなバグや脆弱性が見つかっても修正されず、サーバーの安全性やパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。新たなバグや脆弱性を利用して悪意のある攻撃者による侵入や、データ漏洩のリスクが高まります。

また、バグや脆弱性が修正されないことで、サーバーのパフォーマンスにも悪影響が及び、業務の遅延や停止につながる可能性があります。

特にファイルサーバーの場合、社内の重要なデータや個人情報などを保存していることが多いでしょう。ファイルサーバーは企業の財産であり、重要な情報が一箇所に集中しています。

しかし、サポート期限が切れたOSを使用することにより、ファイルサーバーのデータが悪意のある攻撃者によって人質にされるリスクが高まります。ランサムウェアと呼ばれる悪質なソフトウェアは、ファイルサーバーのデータを暗号化し、金銭を要求してきます。

さらに、データの漏洩や盗難のリスクも高まります。個人情報保護法などの法的要件もあり、企業は顧客の個人情報を適切に管理する責任があります。そのため、データのセキュリティは非常に重要です。

ランサムウェア

 

対策として有効な方法は、新しいバージョンの OS を使用している NAS への移行、またはクラウドへの移行です。

NASからクラウドへの移行の必要性

Windows Server 2012 がリリースされた 2013 年と比べ、コロナ禍を経て現在の働き方は様変わりしてしまいました。リモートワーク当たり前になり、効率性の観点からも、社内でしか使えないシステムもリモートワークで利用できることが求められてきています。

また、これまでは NAS の空き容量が少なくなると HDD を空きスロットに追加したり、別の NAS を買い足す必要がありました。これには調達のコストはもちろん、設定のコストもかかるため、必要のないファイルを削除したり空き容量を増やす努力をすることも必要でした。

クラウド環境ではデータを地理的に分散した場所に配置することができるため、HDD などの故障など、物理的な障害への耐久性が向上します。

また、必要に応じて自動で容量を拡張することができるものもあり、将来的な業務の成長にも柔軟に対応することができます。

しかし、クラウドへの移行は簡単に行えるものではありません。

データのバックアップや移行のタイミング、必要なリソースの確保など、慎重な計画と準備が必要です。また、クラウドサービスの選択も重要であり、自社のニーズに合った信頼性の高いプロバイダを選ぶことが求められます。

さらに、クラウド化後の運用管理やセキュリティ対策についても注意が必要です。適切な管理とセキュリティ対策を講じないと、クラウド環境でも同様のリスクが発生する可能性があるため、定期的な監視と適切な対策の実施が求められます。

クラウドサービスの選び方

クラウドプロバイダの選択肢として上がるのは主に以下の3つでしょう。

  1. AWS(Amazon)
  2. Azure(Microsoft)
  3. Google Cloud Platform(Google)

AWSは、市場で最も広く利用されているクラウドプロバイダの一つです。そのメリットとしては、多様なサービスや機能が提供されており、拡張性や柔軟性に優れています。また、AWSは幅広い業界で使用されており、安定性や信頼性が高いと評価されています。

Azureはマイクロソフトが提供するクラウドプラットフォームであり、Windows環境に特化しています。Windows Serverとの親和性が高く、既存のWindows環境との統合が容易です。また、Active DirectoryやOffice 365など、マイクロソフトの他の製品との連携もスムーズに行えます。

GCP(Google Cloud Platform)は、Googleが提供するクラウドプラットフォームであり、Googleの大規模なインフラストラクチャを利用しています。GCPは、柔軟性と拡張性に優れており、さまざまなサービスと機能を提供しています。

どのクラウドプロバイダを選ぶべきかは、企業のニーズや要件によって異なります。

まずは、自社の業務やシステムの特性を把握し、それに合ったクラウドプロバイダを選ぶことが重要です。また、クラウドプロバイダのサポートやセキュリティ対策、料金体系なども考慮しながら、最適な選択を行いましょう。

移行後の運用とセキュリティ対策

クラウド化後の運用管理とセキュリティ対策は、重要な課題です。

クラウド環境では、データやシステムが外部のプロバイダに頼るため、適切な管理とセキュリティ対策が必要です。以下に、クラウド化後の運用管理とセキュリティ対策についての推奨事項をご紹介します。

1. 定期的な監視と管理

クラウド環境では、サービスやインフラストラクチャは外部のプロバイダ(AWSやAzureなど)によって提供されます。そのため、定期的な監視と管理が重要です。定期的なログのチェックや異常な操作の検知、システムのパフォーマンスの監視を行うことをおすすめします。

NAS で運用していたときは、空き容量のチェックなどを定期的に行う必要がありました。多くのクラウドプラットフォームでは監視と、異常を検知した際の通知を行う機能が提供されています。

2. データのバックアップと復旧

NAS で運用していたときにはデータのバックアップは大きな課題でした。NAS 自身のバックアップがどこにもないことが多く、誤ってデータを削除してしまったり、機器の故障などで NAS を使えなくなってしまった場合に、データを戻せなくなってしまいます。

ファイルサーバーとして使用している NAS のバックアップを保存する NAS を用意する。という運用をしている方も多いのではないでしょうか。

クラウドでは定期的なバックアップを取得することができます。

多くの場合、取得したバックアップデータを地理的に分散した複数の場所に保存し、災害時のデータロストから保護します。

これにより地震や火災などの災害が発生した際でも、速やかにデータを復旧して業務を継続することができます。

3. 強固なアクセス制御と認証

クラウド環境では、アクセス制御と認証の重要性が高まります。

適切なアクセス権限の設定や認証手法の導入を行い、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを軽減するために、二要素認証やシングルサインオンなどのセキュリティ機能を活用し、より強固なセキュリティを実現することをおすすめします。

多くのクラウドプラットフォームでは、外部からの不正なアクセスを遮断するためのセキュリティ機能が用意されていたり、IP アドレスでアクセスを許可・拒否することもできます。

これにより、不正なアクセスを遮断し、セキュリティリスクを低減することが期待できます。

4. セキュリティ意識の向上と教育

クラウド環境では、セキュリティ意識の向上と教育が重要です。

従業員に対してセキュリティポリシーやベストプラクティスを教育し、セキュリティに関する意識を高めましょう。また、セキュリティインシデントへの対応手順や報告方法なども明確にしておくことで、迅速な対応が可能となります。

以上が、クラウド化後の運用管理とセキュリティ対策についての推奨事項です。クラウド環境では、適切な管理とセキュリティ対策を行うことで、データの安全性と業務の継続性を確保することができます。

まとめ

この記事を通じて、Windows Server 2012のサポート終了とそれに伴うクラウドへの移行の重要性を確認してきました。

これは単なる物理からクラウドへの移行だけでなく、ビジネスの持続性と成長、そしてセキュリティを保つための必要なステップです。

クラウドへの移行は、拡張性、コスト効率性、アクセスの容易性といった数多くの利点を提供します。一方で、移行プロセスは注意深く計画し、適切に管理する必要があります。

その過程には多くの選択肢と考慮すべき点がありますが、こうした複雑な移行計画と以降の実行を私達はご支援していますので、こちらのお問い合わせページからお気軽にご相談ください。

お問い合わせ

お問い合わせ

Written By: 合同会社 Linkup